北クルディスタン(トルコ東~南東部)への旅

2019年9月半ばから10月初めにかけて、北クルディスタン(トルコ東~南東部)へ行ってきました。

 今回のトルコ軍によるシリア攻撃の直前に帰国したのですが、その間、人びとがチャイハネ(喫茶店)などでエルドアン大統領を批判している姿を目にするのは、それほど珍しいことではありませんでした。ガソリン代などが異常に高くなっており「独裁者が自分のために戦争をしたいから、国民の負担が大きくなっている。とてもひどい」という言葉が強烈に耳に残っています。ただ、公に声を上げることは難しいようでした。

 まさか今、再びシリアのクルド人地域が攻撃されるとは、その時には思ってもいませんでした。しかもISを封じ込めたクルド人部隊(YPG/YPJ)を標的にするとは。クルド人部隊によって捕らえられていたISメンバーらが、今回のトルコ軍による空爆で何百人と逃げ出していると聞きます。「平和のために」などとエルドアン大統領は言っていますが、やっていることはまったくの真逆。さらなる難民を増やし、攻撃には化学兵器を使用したのではないか、とも言われています。クルド人部隊をテロリストと言うならば、トルコ軍がやっていることは一体何なのでしょうか? もう100年近く、トルコ政府のメンタリティは変わっていないのではないでしょうか。

さて、北クルディスタンは、1990年代後半から2000年代始めにかけて何度か取材で訪れている地ですが、考えてみれば今回は実に18年ぶりということになります。ひさしぶりのクルディスタンでしたが、大きく変わったところと、やはりあの当時のままだと感じられるところがありました。それはもちろん20世紀から21世紀にかけて世界中で起きた様々な要素によるものもありますが、そうではなく、「クルディスタン」という地域が持つ特殊性からの視点に立ったときに見えてくるもの、という意味での話です。
 その辺りのことを含めて、いずれ何らかの形でご報告できればと思います。
( 写真/文 中島由佳利 )